囚われのシンデレラーafter storyー
「――本当に、ごめん。この通りだ」
私の作った料理を前に、西園寺さんが頭を下げる。
「やめてください。頭を上げて」
その様子は、こちらが申し訳なくなるくらいだ。
「いや、さすがに今日の俺はどうかと思う。
こんなに、料理を作ってくれていたのに。理性を保てなかった」
「佳孝さんだけの責任じゃないですから。私も、同罪です。私も、その、しても、いいって、そう思ったから。だから、一緒です」
激しく繋がった後、西園寺さんが我にかえったように私に謝り続けている。
「……あずさは本当に俺に甘いな」
「しょうがないの。好きな人に求められれば嬉しい。それに、佳孝さんは、本当に嫌な時は絶対にやめてくれるって分かっているから。だからね、私は一度も無理なんてしたことないですよ」
私をじっと見て、西園寺さんがその手のひらを額に当てた。
「……本当に、あずさには敵わない。俺は、日に日に底無し沼に溺れて行くみたいだ。でも、それがあずさなら、ずっと溺れていても構わない」
ふっと息を吐いた後、西園寺さんが私に手を伸ばす。
「愛してる」
その指が私の頬に触れ、なぞるように滑り落ちた。
「たまらなく、愛してる」
私を見つめる甘い眼差しに耐えられなくなって、つい笑みを作る。
「た、食べましょうか」
「……ああ、そうだな。本当に美味しそうだ。いただきます」
ようやく、ラフマニノフが耳に戻って来た。