囚われのシンデレラーafter storyー
その週の金曜日、私の歓迎会が開かれた。
終業後、近くのビストロを貸し切って、経営企画部の面々、総勢30人ほどが揃う。
”では、マネージャーからまず一言お願いします”
会の始まり、この中のトップである西園寺さんが中央に立つ。
この会の主役は私で、その言葉は私に向けられるもの――。
そんなことくらいで、胸の鼓動は激しくなる。この一週間、見つめ続けて来た人だ。
”――まず初めに、日々、クラウンのイメージアップに貢献する皆さんの功績に感謝します。これからも、よりクラウンの強みを得るべく、アイディアを出していただきたい。それから――”
その視線が私に向けられる。
”我が経営企画部に新たな戦力が入ってくれた。
チーフとして、何より、このクラウンホテルパリに利益をもたらすこと。ここに来たからには求められていることは実績だ”
そこで、何故かその視線が鋭くなった。
”どうして自分がここにいるのか、どうして日本から派遣されて来たのか、それを忘れないように日々責任を果たしてもらいたい。期待しています”
西園寺さんの挨拶が終わり、私は会釈をした。
”では次に、アリサ、お願いします”
西園寺さんが立っていた場所に私も立つ。
”ここに来て、二週間ほどが経ちました。
マネージャーをはじめ、部の皆様に助けられながらなんとか日々を過ごせております。これからは、チーフとしてこの経営企画部で戦力となるべく貢献していきます。よろしくお願いします”
笑顔で見ていてくれているスタッフたちの姿に、ホッとする。
挨拶さえ終われば、もうあとは美味しい料理と美味しいワインを楽しむ歓談の時間だ。変に気取っていないアットホームな店の雰囲気が、よりスタッフ同士の距離を近くする。
密かにこの日を待ち望んでいた。
オフィスではない、お酒の入った西園寺さんと向き合える。