囚われのシンデレラーafter storyー
"――本日は、私のためにありがとうございます。それで、何をそんなに盛り上がっているんですか?"
決してその場を盛り下げないように自然に入って行く。
"ああ、アリサ。いいところに来たね。ヨシタカの話だよ。ヨシタカがね、この1週間、昼休みのたびにフォトフレームを買って戻って来るから、何ごとだって聞いていたんだよ"
西園寺さん本人ではなく、その場にいたセクションマネージャーが答えた。
"フォトフレーム、ですか……?"
"そう。一体、そんなに何に使うのかって。写真館でも開くのかなんて聞いたら、すべて恋人の写真に使うんだってさ!"
心から楽しそうに私に言って来るけれど。
全然楽しくなんかない。
"この一週間仕事が立て込んでいたから、昼に買うしかなくて。仕方がないんだ。飾りたい写真があり過ぎて、一つの店では済まなかった"
ワインを口にしながらそんなことを言う西園寺さんを、唖然として見つめる。
"彼女が来ていた一週間で、そんなに撮ったのか"
"ああ。どれを飾るか話し合ったんだが、結局意見が一致しなくて喧嘩になってしまった。だから、もういっそのこと、気に入っている写真はすべて飾ることにしたんだ。彼女はいまだに嫌がっているけどね"
"おいおい、それは喧嘩とは言わないよ。ただのジャレ合いにしか聞こえない"
それを否定もせず、西園寺さんが笑っている。
”これからも、彼女の写真は増える一方だと思うから。フォトフレーム集めが趣味になりそうだ”
皆が笑い合うその会話に、顔が引きつりそうになるのを必死に堪え口角を上げているけれど、ちゃんと笑顔でいられているだろうか。
"――君なら、どう思う? 恋人の部屋に自分の写真がたくさん飾られていたら、本気で嫌なものかな? 彼女に嫌われてしまっては元も子もない"
"……えっ"
不意に私に向けられた西園寺さんの問い掛けに戸惑う。
"そ、それは、どうでしょうか――"
どうして人前で、そんなにも自分の恋人の話なんてできるの?
西園寺さんは、どう考えたってそういうタイプの人じゃない――。
それに、これまで私に自分の彼女の話をして来る男なんていなくて。
何より、他の人ばかりに向けられていた視線が突然こちらに向けられて。その視線を直視出来ず上手い言葉が出て来ない。