竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


(もしかしたら私が危険人物じゃないってことを、わかってもらえるかもしれない!)


 私は祈るように手を組み、二人の会話にじっと耳を傾けた。


「シリル、おまえは他国でこのような服装を見たことがあるか?」
「いいえ、ございません。それにこの格好でウロウロしていたら、目立ってしょうがないでしょう」
「だろうな。それに俺の目をかいくぐって、警備が厳重なこの部屋に入るなど不可能だ。もしそれが可能ならすでに俺の首をかき切っていてもおかしくないだろう」
「それに竜王様の命を狙うなら、ここではなく寝所に入るでしょうね」


 それを聞いた竜王はクッと喉を鳴らし、口の端を上げた。そしてそのまま私の方を見ると、にこりとほほ笑んだ。この世のものとは思えないほど美しいその笑みは、初めて会ったのならきっと見とれていただろう。しかし今は違う。どことなく私を見る目が「玩具を見つけた子供」のように輝いていて、私は一歩後ろに下がった。
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