竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


「親だと思ったのかな?」
『もしかしたら、本当の家族にも、似た性格の兄竜がいたのかもしれません』


 その様子を隣で見ていたルシアンさんも、ホッとした様子だ。「これなら大丈夫そうですね」と言ってほほ笑んでいる。


「迷い人リコ様、また会える日を楽しみにしていますよ」
「ルシアンさん、お世話になりました! クルルは大事に育てますね!」
『ばいば〜い』


 クルルという思わぬお土産をもらい、私たちは順調に王宮まで戻っていった。トラブルといえば、途中クルルが眠ってしまって、ヒューゴくんの背中から落ちてしまい、鎖で宙ぶらりんになってしまったことくらいだろう。


「この世界で初めての旅は楽しかったか?」
「はい! 竜も性格がさまざまで、面白かったです」
「フッ、そうだな。お、そろそろ王宮だ。どうやら出発と同じで、騎士たちが出迎えてくれてるようだぞ」
「わっ! 本当だ! キールくんもいる」
『りゅうのけはい、いっぱい』


 窓からのぞくと、たくさんの騎士や王宮のスタッフが出迎えてくれていた。手を振ってくれたり、キールくんなんてこっちに飛び出しこようとするのを、三人がかりで止められていた。
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