竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


 その後もひととおり、部屋の使い方を教えてもらった。食事は王宮で働く人用の食堂があるみたいだけど、安全面を考慮して昼と夜はリディアさんが部屋まで持ってきてくれることになった。申し訳ないけど、私が王宮を歩き回るほうが迷惑だと思うので、ありがたく受け入れることにした。


(きっとこの部屋も、位の高い人のお世話をする、特別な侍女部屋なんじゃないかな……)


 このお部屋は王宮の中でも、竜王様の私室にかなり近い場所にあるらしい。最初は「そんな近くに私がいることがバレたら……」と不安になったけど、非公開の場所なので貴族令嬢であっても誰がどこに部屋を持っているかを知ることができないそうだ。しかも念の為、私が昨日泊まった客室も、そのままにしてくれていた。


「ここに、竜王様からいただいたお茶を置いときますね。今日は疲れたでしょうから、ゆっくりしてください。お仕事もお昼からなので、頃合いを見て私が起こしに来ますから」

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