竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜

 そう言うとリディアさんは、隣の自分の部屋に帰って行った。この世界に来て二日目とはいえ、いたれりつくせりで申し訳ない。お料理も運んでもらって、私の目の前にはレストランで食べるような豪華な食事が置いてあった。


「お、美味しい!」


 今日のお昼はあまり食欲がなくて、竜王様との話し合いで食べたケーキだけだったのよね。本格的にこちらの料理を食べたのは初めてだったけど、日本人の私にもちょうど良い味付けで、食べすぎてしまいそう。きっと多めに持ってきてくれたと思うのだけど、案の定私は全部平らげてしまった。


「あのまま強引に、私に料理を改善させろなんて言わなくて良かった。恥をかくところだったよ……」


 いまだに自分のこの世界での役割はわからないし、そもそもないのかもしれないけど、迷惑だけはかけたくない。今はまだ頼ることが多いけど、しっかり体力をつけて頑張ろう! そんなことを考えながら食べ終わったお皿を綺麗に洗い終えると、ふと竜王様からもらったリュディカという貴重なお茶が目に入った。
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