イケメンエリート、最後の独身
謙人は胸に込み上がるものを必死に堪えていた。自分の素直な気持ちを伝えているだけなのに、涙が出そうになる。
「だから、昨夜のキスは、挨拶とかそんなんじゃない。
本当に萌絵ちゃんにキスがしたかった。
本物のキスだよ…」
謙人は萌絵の事をずっと見ている。
萌絵の気持ちを確かめているわけではない。だって、萌絵の気持ちはまだゆりかごのように揺れている。
「謙人さん… 私…」
萌絵はテーブルの一点を見つめたまま、必死に言葉を紡ごうとしていた。
「萌絵ちゃんは、何も言わなくていいから。
俺が、昨夜、萌絵ちゃんにキスをした。
そのキスの真意を伝えたかっただけ」
謙人はそう言うと、席を立った。