イケメンエリート、最後の独身


「でも、その表情は他にも何か感じてるという顔ね?」

 ソフィアの一言で、萌絵の目から涙が溢れ出る。その涙は心の奥底で感じている違和感と喪失感の現れだった。

「社長… すみません…
 まだ働いて一か月が過ぎた頃なのに、こんな事を言っていいのか悩んでいます」

「どんな事? 何でも言っていいのよ。
 そのためのこの機会なんだから」

 萌絵は小さく深呼吸をした。そして、背筋を伸ばし真っすぐにソフィアを見る。

「私は何年も困った人の手助けをする仕事をしてきました。
 一般的にとても大変な仕事と思われがちですが、私はやりがいを感じ有意義な時間を過ごしてきました。
 今回、その仕事に見切りをつけて、この会社に飛び込んだつもりだったのですが…」

 萌絵は潤んだ目に映るソフィアの笑顔に励まされ、その先の言葉を紡ぐ事ができた。


< 129 / 227 >

この作品をシェア

pagetop