イケメンエリート、最後の独身


「それと今日の午後からの会議に、謙人さんもホヨン君も来るんだ。
 会議が終わる頃、僕が萌絵ちゃんを呼びにくるから、その後にこうなった経緯を皆に説明するね。
 ホヨン君や謙人さんとは仲良くしてたみたいだから、きっと、びっくりするだろうな」

「…はい」

 萌絵は胸が痛くなる。
 二人とキスをしたあの夜がぼんやりと頭に蘇ってくる。そして、それ以上に、謙人の愛の告白が萌絵の心を大きく揺さぶった。
 謙人の事を考えたら胸が苦しくて仕方がない。

「じゃ、また後で」

 明智さんは大切な事だけ伝えると自分のブースへ帰って行った。
 萌絵はオフィスの一番奥のデスクで仕事をしている。大きな窓から陽の光が燦燦と降り注ぐこの場所で、萌絵は息苦しさに涙が溢れそうになっていた。
 あの日、謙人の正直な気持ちに萌絵の心は熱くなった。
 大人の男性と思っていた謙人が、まるで傷つきやすい少年のように震えていた。謙人の気持ちに嘘はない。あの夜のキスだって、素直な優しいキスだった。
 でも、あの日以来、謙人とは一度も会えずにいる。


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