イケメンエリート、最後の独身
恋のキューピットは誰の味方?
萌絵は謙人の優しい対応に本当に感動していた。
さっきまで地獄のような時間を過ごしていたから。
ホヨンは萌絵の事を、一流大学を出たスーパーウーマンだと思っていたらしい。
EOCの採用倍率が三百倍だったという事は、萌絵もソフィアに聞いて知っていた。
今のEOCのメンバーから想像すれば、非正規雇用の人間も超一流のハイスペックに違いないと、誰しもがそう思うはず。
でも、ソフィアが選んだのは、看護学校卒のITの事には全く無知な田中萌絵なのだ。
萌絵はホヨンのがっかりした顔を今でも覚えている。
カタカナの専門用語が並ぶテキストを前にしてチンプンカンプンな顔の萌絵を見て、鼻で笑った事を。
萌絵はただでさえ精神的にまいっていた。
まともに通勤さえできない。東京もこの職場も、何もかもが自分に向いていないのかもしれないと不安に思っていた。
「萌絵さんが年上だったのが本当に良かった。
年下だったら、何もリスペクトするところがなかったからさ」
もうダメだと思った。