太陽と月の恋
「あっ」と少し大袈裟に驚きながらウルフカットの彼は私を振り返る。

「木谷さん、俺と同級生だ。え!今日誕生日じゃないすか!おめでとうございますー!これまたどうして」

口から次々と発せられるテンションの高いそれらの言葉に、私は反射的に戸惑う。

「そうなんです。今日で25歳で」
「えー、いいじゃないすか、おめでとうございますー!いいんすか、こんな過ごし方で」

彼の目に力が入ったような気がした。
しっかりとした目鼻立ちが余計に隆々とする。

「こんな、って・・・」

私は苦笑いを浮かべると、彼はまた大袈裟にハッとして口元に手を当て、もう片方の手を顔の前で「いやいや」といった具合に振った。

「バカにしてるわけじゃないっすよ、なんつーか、こんな、こんな過ごし方でいいのかなあと、俺なんかでいいのかなーって」
「え」
「え?」

彼は目を見開く。

「誕生日の夜、一緒に過ごす相手が俺でいいのかなーって」
「え?」
「え?」

冗談を含めて言ってるんだろうけど、私は真顔で反応してしまった。
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