跡取りドクターの長い恋煩い
 次の年、笑美里はローズピンクのゲーム機を持って参加していた。

 すっかり自分のゲーム機を使いこなし、女の子の友達とフレンド登録し、ゲームに夢中になっていた。

もちろん会場から飛び出すようなこともなかった。

 俺は少し寂しく思いながらも、笑美里の兄貴や他の男共とオンラインゲームを楽しみ、楽しくパーティを過ごした。

 その次の年、突然パーティはなくなった。
引退した教授が体調を悪くしてしまったのだ。

 しばらく後その教授は亡くなり、いつもパーティで顔を合わせていた子供たちとは教授の通夜で最後の顔合わせになった。

 あの豪快な教授さんが亡くなったのか……。面白いおっちゃんだったのにな。
 遺影を見ながら、寂しく思ったのを今でも覚えている。

 その時笑美里は4年生、俺は6年生になっていた。
 私立小学校の制服を着た笑美里は、急激に大人びたように見えた。

 相変らず猫みたいな目で小さな顔なのに身長はグッと伸びていて、いつもふわふわさせていた髪はポニーテールにされていた。

 その横には同じ学園の中学の制服を着た兄貴が立っていた。
 学ラン姿の兄貴は俺とたった1つしか違わないのに大人びて見える。俺よりもかなり背が高かった。
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