独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
「彩萌」



突如、名前を呼ばれハッとする。

声の聞こえた方向に顔をぎこちなく動かすと、瑛さんがリビングの入口に立っていた。

少し険しい表情に胸騒ぎがする。



「お、お帰りなさい。あの、秘書課で私……わざとじゃ、なくて……ごめんなさい」



大股で近づいてきた彼が、私の左隣に腰を下ろす。

まさかこんなに早く帰宅するとは思わなかった。



「謝る必要はない。里帆が仕組んだことだし、あの場にいたのは偶然だとわかっている」



焦る私とは対照的に、彼の態度はとても落ち着いている。



「朝霞さんは……」



「里帆はフランスに行っていたんだ」



私の言葉を強い口調で遮り、淡々と説明し始める。

朝霞さんはパティシエを目指していて、近々渡仏するそうだ。

その準備や手続きのため、ここしばらく日本とフランスを行き来していたらしい。

今は一時帰国中でまたすぐに渡仏するという。

幼い頃からの夢をあきらめきれず、悩んでいた朝霞さんにずっと協力していたそうだ。



「じゃあ、行方不明っていうのは……」



「アイツの居場所を知っていたのは俺くらいだから、一応は本当だ。里帆は結婚を押しつけた件をお前に謝罪したがっているが、気にしなくていい。アイツの我がままで振り回して、悪かった」



「なんで、瑛さんが謝るの……?」



尋ねる声が震える。


こんなの、まるで朝霞さんを庇っているみたいだ。
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