独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
「里帆の夢に手を貸した俺にも、責任がある。巻き込んですまない」



「瑛さんは……どうして朝霞さんに協力したの?」



私との結婚を後悔しているの、と問う勇気がない。



「里帆の努力をずっとそばで見てきたし、幸せになってほしいと願っている」



優しい、思いやり深い言葉に、胸の奥がキリキリと痛んだ。



お願いだから、そんな切ない表情をしないで。



朝霞さんの夢のために、自分を犠牲にしたの?



じゃあ、あなたの幸せはどこにあるの?



喉元にこみ上げる質問を、どうしても口にできない。

聞けば、私たちの関係は壊れてしまう。

ふたりが積み上げてきた時間や思いに対抗できない。



「なんで、今まで話してくれなかったの?」



「お前には関係ないし、終わった話だ。今後里帆に会ったり、許す必要はない。負担をかけた俺が言うのは心苦しいが、今はお腹の子どものことだけを考えてほしい」



なにかを問う前に一方的に切り上げられ、反応できなくなる。



どうして、関係ないの?



私たちは夫婦でしょ?



赤ちゃんだけが、大事なの?



私の気持ちは聞いてくれないの?



「里帆の来社は予想外だが、俺たちの関係も条件もなにも変わらない」



関係って、条件って?



やっと心を通わせられたと、近づけたと思った。

ともに手を取り合って生きていけると、“一般的な夫婦”になれると信じた。


それなのに。
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