独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
「……それが、瑛さんの本心?」



「ああ」



簡潔な、迷いのない答えに、目の前が真っ黒に染まった気がした。

足元に暗い大きな穴が開いて、吸い込まれそうな感覚に襲われる。


両想いだと思っていたのは、私だけだった。

この人の“好き”は、私の“好き”とは重さも意味も違う。

大切にしてくれるのも想ってくれるのも、条件があるから。

彼が願う改革を叶えるために、必要だから。

私が妊娠しているから。

それ以上でも以下でもない。

心を預けてくれたわけじゃない。

本当に大切な女性は朝霞さんひとりだけ。

私は一生、彼女に敵わない。

気づいた残酷な現実に、胸が鋭く切り裂かれていく。

悲鳴を上げる心を慰める術がない。



「里帆は自身の両親と梁瀬の両親に事情を説明し、謝罪もしている。朝霞家からも謝罪を受けている。すでに婚約破棄が成立しているうえ、俺が手を貸していたこともあり、この件はここまで、というのが親父の判断だ」



淡々と語る声が、右から左に流れていく。

私の知らないところでどんどん話は進み、まとまっている。

思い返してみれば、いつもそうだ。

私だけが常に蚊帳の外で、結果だけを知らされる。
< 111 / 174 >

この作品をシェア

pagetop