独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
自分の立場に悶々としている間にも、粛々と結婚式の準備は進んでいく。

百貨店で結婚指輪について意見を聞かれたが、私は宝飾品に疎い。

格式やしきたりとの関係性もわからず怖くなり、瑛さんに一任するしかなかった。

彼は少し怪訝な表情を見せたが、なにも口にしなかった。


週が明け、重い心と体をひきずり出社した。

昨夜も甘やかすように抱きしめられたまま眠りについた。

筋肉質な腕の温もりと優しい仕草に、ふいに胸が詰まり泣きたくなった。


なぜ、隣にいるだけでこんなに心が乱れるの? 


どうして周囲の目が以前より気になるの?


さらに、結婚後もしばらくは退職しなくていいと改めて言われた。



『一族の人間はなにかと騒ぎ立てるだろうが……好きにしろ。お前の決断は俺が守る』



『……いいんですか?』



『例えば妊娠していて、体調も良くなければ話は別だが。ああ、そうか、結婚したら堂々と抱き潰せるな?』



クスクスとなぜか楽しげに声を漏らす姿に、目を見張った。



『な、なにを言って……』



『俺は本気で愛する人に出会って結婚する、幸せな男と世間で噂されているそうだ』



どうやら再びの婚約を、マスコミに公表したらしい。

しかも以前に言っていたひと目惚れ説を、本当に口にしたという。


突拍子のない話に胡乱な目を向けると、彼が私の耳に形の良い唇を寄せてささやく。


『事実だろ? お前は俺だけのものだ』


言うが早いか、頬に長い指を滑らせ唇を奪う。

上唇を食まれ、繰り返される口づけに簡単に陥落してしまう。

案の定寝室に連れ込まれ、朝まで離してもらえなかった。

甘い夜の記憶に、自然と頬が熱くなる。
< 75 / 174 >

この作品をシェア

pagetop