Restart~あなたが好きだから~
スケジュ-ル確認が終わると、秘書はいったん専務の執務室を辞し、自分のデスクに戻る。そこで待っているのは、上司の業務に関連する社内文書や社外文書の作成や管理。経費の精算書類や報告書類、取引先等に書類を送る際のカバーレター、打ち合わせに使用する資料など、作成する書類の種類は様々だ。


また、必要となったときに適切な書類をすぐ取り出せるように、作成した書類の管理や保管、ファイリングも欠かせない。上司が快適に、効率よく仕事ができるように社内環境を整え、上司の仕事に関わる業務をサポートすることも秘書の大切な役割と言える。


こうした事務業務、作業をしている間に、上司に外部からの電話や社内からの連絡が入れば、まずは秘書が一次対応しなければならない。当たり前だが、全てを専務に取り次いでいたら、パンクしてしまうからだ。自分のみで対応できるものであるか、上司の判断を仰ぐべきものか、判断して振り分けていかなくてはならない。また、上司に届いたメールのチェックしておくことも必要で、こうした連絡は、上司への面談要望や、外部からの来訪希望の連絡であることが多々あり、そうなれば、スケジュール調整や管理が必要になり、それも秘書の重要な仕事になる。


そう言ったものを、次々をこなしているうちに、取締役会の時間が近付いて来て、必要な資料や書類を専務に渡し、会議に送り出す。そしてまた、自分の業務に戻る。


会議は1時間ほどで終了し、その会議場でそのまま昼食となり、頃合いを見計らって、七瀬と城之内は会場に赴くと、着任挨拶と退社挨拶を行った。緊張の面持ちで臨んだ七瀬だったが、簡単な自己紹介のあと、拍手で迎えられて、それ以上のことは、特になにもなく終わった。


午後は1件、来客があり、その案内やお茶出しなども秘書の役割。ついでに言えば、こうした来客と会うための場所の確保も秘書がやる。執務室の清掃や郵便物の管理、備品の調達・管理。更には上司が出張する際の新幹線や飛行機予約、ホテル予約の他、取引先訪問時の手土産や会食時のレストラン予約といった手配や宅配便、タクシー、年賀状、お礼状など、幅広い手配業務といった雑務にも、随時対応しなければならない。


目の回るような1日が、あっという間に過ぎて行く。この日も定時で上がるように言われた七瀬は、専務と城之内に挨拶して、オフィスを出ると、ふぅと思わず1つ大きく息をしていた。
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