成瀬課長はヒミツにしたい
「わ、わかった……」

 真理子はそれだけ言うと、みんなの視線を感じながら社長室へと向かう。

「一体、何があったっていうの……」

 真理子は不安で押しつぶされそうになりながら、ぐっと両手を胸の前で握った。


 エレベーターを降りると、はぁはぁと息を切らしながら、社長室の扉の前で立ち止まる。

 一旦呼吸を整えてから、静かに扉をノックした。

 ガチャリと音を立てて扉が開くと、中にいたみんなが一斉に真理子を振り返る。


 真理子は、一番扉の近くに立っていた成瀬と目が合った。

 あの夜以来、久しぶりに見た成瀬の顔に、真理子はぱっと慌てて下を向く。

 その様子を、静かに社長がデスクから見ている。


「中に……」

 成瀬に促され、真理子は緊張した顔つきのまま、閉じた扉の前に立った。

 そっと顔を上げると、室内には他に常務がおり、真理子を含め全部で四人。


 ――ここに私が呼ばれるって、どういう事……? まさか乃菜ちゃんに何かあったの?!
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