成瀬課長はヒミツにしたい
「ログからわかるのは、アップした日時とファイル名のみです。実際の中身は、わからない……」

「つまり、中身とタイトルが別物、って可能性もあるんだな……」

 成瀬はいつもよりもさらに低い声を出すと、念を押すように真理子の顔を覗き込む。

 真理子は小さく頷いた。


「これは俺の推論でしかないが……」

 成瀬は眉間に手を当てると、紙を取り出しペンを走らせる。

「まず、社長案件のデータと偽って、個人情報のリストを作成。それを決められた日時に、WEBサーバーの非公開フォルダにUPし、《《非公開》》の権限を《《公開》》に変更。それを社外の誰かがダウンロードする……。こういったシナリオも、描けるってことか」

 成瀬のメモ書きを、食い入るように見つめていた真理子は息をのんだ。


「そんなこと……」

 真理子は慌てて立ち上がると、社長のデスクに向かう。

「私、卓也くんに確認します!」

 真理子はそう言うと、デスクの電話の受話器を取り上げた。
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