彼女はアンフレンドリーを演じている
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修正した戦略資料を小山に送信すると、御礼の返信メールが直ぐに送られてきた。
口出ししてきた蒼太もおそらく目を通し、納得したんだと理解した美琴は、一仕事終えた反動で緊張が徐々に解けていく。
するとゆっくり席を立ち、スマホショルダーを肩にかけると、一人休憩スペースへと向かった。
同じ階にある休憩スペースは、壁のほとんどが窓なので、今時間は夕日のオレンジ色が辺りを綺麗に染めている。
等間隔に置かれた椅子と円卓も自由に使用でき、社員にとっては評判の良い癒し空間でもあった。
その奥にある別空間には、社内で唯一の喫煙所が設置されていて、美琴が直ぐそばにある自販機で飲み物を選んでいると、突然声をかけられる。
「あれ、美琴じゃん」
「遼くん? 久しぶり」
購入したペットボトルを取り出し口から拾う美琴が、普段よりも少し明るい声でその男の名前を呼ぶ。
喫煙所から出てきたばかりの同期、藤沢遼が、煙草の匂いを纏いながら近付いてきた。
「前は同じ部署だったのに、異動してから全然会わなくなったな」
「フロア違うとすれ違うこともないよね」
「しかもお前、煙草やめたんだっけ?」
「とっくにやめてるよ、半年間だけだった」
「マジ? よくやめられたな」
切れ長の目と短髪をしっかり整えて、派手すぎないネクタイとシワのないワイシャツもカッコよく着こなしているのに。
どこか気怠げな雰囲気を醸し出している遼は、相変わらずだなぁと眺めながらも、どこかホッとしている美琴。
半年間だけ諸事情で喫煙者だった美琴は、同期で同じ部署の遼と気楽に話せる間柄にまでなっていた。
しかし今はもう煙草はキッパリやめ、別階の部署へと異動したのをきっかけに。
遼の煙草休憩と、美琴の休憩のタイミングが合わない限り、話す機会がないのは少し残念に思う。
「楽しい? 新しい部署」
「うん、仕事に集中できるから」
「へぇ……ていうか」
「??」
遼が何か言いかけたところで口を閉ざしたので、不審に思った美琴が眉根を寄せて首を傾げる。
正直に話すか否か、顎に手を添えて悩んだ末、遼は打ち明けることを決めた。