彼女はアンフレンドリーを演じている
場所を変えた三人は今、自由に使用できる企画部の面談室にいた。
無理矢理連れてこられた長屋は、人目を気にしなくなったことで少し落ち着いてきたものの。
代わりに真実を話さなくてはならない雰囲気の、ど真ん中に立たされている。
「藤沢、本当に言えない、勘弁して……」
「でも美琴に関係してることなんですよね?」
「……それでも、言えない」
「…………」
頑なに口を割らない長屋に、遼も困った様子で美琴に目配せした。
自分に関係していること、だけど言えないこと。
過去の交際が関係している気がした美琴が、思い悩む表情を浮かべる。
「美琴、知りたい?」
「え……?」
「お前が決めろ、知りたくないならこの話は終わり」
「……」
「ただ……」
すると、今まで見たことのないほどの真面目な顔で目線を向けてきた遼は、少しだけ怒っているようにも見えて。
美琴の胸奥にグッと圧力がかかった。
「一年半前の美琴の異動は、何となく長屋さんが関係してる気がしてた」
「……遼くん」
「その答え合わせを、俺はしたいと思ってる」
長屋と美琴が交際していたことは、この会社では蒼太しか知らない。
しかし、二人と同じ部署でありずっと近くで見てきた遼もまた、思うところはあったらしく。
あえて何も聞いてこないという優しさを持っていた遼を、少し見直した美琴。
だから、隠された真実を知る覚悟を決められた。
「……長屋さん、教えてください」
「っ……」
「知っていること全部、私には、知る権利があると思います」
“あの時”も、夏が終わって秋の始まりを感じられた時期だったと記憶する長屋は。
美琴のその瞳から逃れることはできないと悟って、静かに瞼を閉じると、苦悩するように眉根を寄せた。