彼女はアンフレンドリーを演じている
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蒼太と美琴の間に男女のもつれを疑ったこともあったが。
実際は先輩である長屋と、同期の美琴が過去に交際していて、その事実をたった今知った遼は複雑な面持ちで視線を落とす。
そして、突然別れを告げられたことで深い傷を負い、あれから三年経った今でもそれを抱えている美琴は。
自分の知らないところで、蒼太が暗躍していたなんて、と言葉を失っていた。
「香上くんに口止めされてたわけじゃないけど、この事は誰にも言わないで……」
「それは俺らが蒼太に話したら、蒼太が二股の件を拡散するって思ってるからですよね?」
「……っ」
「結局、保身ですか」
既に当時の彼女と結婚しているとはいえ、過去の過ちを知った奥さんと、何も知らずに祝福した社員たちに見捨てられるのを恐れている長屋に。
三年経っても相変わらずなんですね、と言う苦笑いを浮かべる遼は、共に仕事をする先輩の情けない姿を見つめた。
ただ当時も今も自分の事しか頭にない長屋は、蒼太の隠された本当の目的にも全く気付いていない、とも考える。
「長屋さんもういいです、先に戻っててください」
「っ……最後に美、冴木さん。本当に申し訳なかった、本当にごめんなさい……」
「…………」
面談室を出る直前で、再度謝罪する長屋に対し、ピクリとも反応を示さない美琴。
そして静かにドアが閉められ二人きりとなったところで、遼が確かめるように声をかけた。
「……付き合ってたの、いつ頃」
「三年前の、秋」
「じゃあ、異動するまでの一年て……」
「地獄だったよ」
たとえ遼がいて、他の良き先輩方がいても、その部署にいる限り長屋のことは目に入る。
更には結婚すると言う報告、みんなの祝福の声と拍手、見た事ない奥さんの話が人づてで耳に入ってくるから。
悟られないように今まで通り笑顔で対応しながら、心には大きな負担をかけていて。
家に帰るといつも涙を流していたし、仕事への集中力も低下して、退職も考えていた。