轍(わだち)〜その恋はお膳立てありき?
「しかし、ふーん、抱き枕ねぇ。少しは進歩してんじゃない」
「抱き枕か添い寝がないと眠れないなんて、難儀な体質でござるなぁ」
食べを終わったアイスクリームの容器の底をしつこくかき回した清乃は、名残惜しそうに、それをゴミ箱に放った
。
「んなわけあるか!アイツはいつも一人でグゥグゥ寝とるわ」
「へえ、やっぱり滋子とタカシさんは、裸や寝姿を見せる程、親密な仲ではあるんだね」
滋子としては、ツッコミどころ満載な会話ではあったが、清乃の言動と様子から見るに、抱き枕にされても嫌ではない程度には、タカシに心を開いているのだろうと判断した。
「まあ、知り合いではあるけど親密な関係ではないかな。裸なんて見てないし···てか、あんた見たの?」
「うん。サービス生着替え、上半身限定だけどね。戦国武将の半裸イラスト、ニーズがあったら参考にさせてもらうよ」
どこまでも2次元仕事優先の清乃の言動に、滋子はまたもため息をついた。
「ソレハヨカッタネ」
「きれいな大胸筋と上腕二頭筋だったよ。背筋も筋肉付きすぎず···」
「ハイハイ」
滋子は、熱く筋肉語りを始めようとする清乃の頭をポンポンと撫でた。
「あ!それ、タカシさんね、抱き枕のお礼に、イケメンスマイルにイケメンボイス、頭ポンポンの“但しイケメンに限るサービス”してくれたんだけど、滋子、今度会ったらお礼言っといてね。清乃は此度の経験を必ずや仕事に反映致しますって」
「ソウネ」
滋子としては、今回のセッティングは見合いもしくはデートのつもりだったのだが、流石に清乃とタカシの朴念仁ペアでは、思惑通りに進まなかったようだ。
しかし、それもこれも、滋子には想定内、思惑の内なのだ。
「だって、清乃はテンプレが好きでしょう?」
「そうなの!テンプレは王道、三次元でもこんなこと言う人いるんだって思ったよ」
ニコニコと笑う清乃は、もう、滋子の描くシナリオのステージに載せられていることに気づいていない。
滋子はニヤリと笑って、第2ステージへの確かな足がかりを掴んだことを実感していた。
「抱き枕か添い寝がないと眠れないなんて、難儀な体質でござるなぁ」
食べを終わったアイスクリームの容器の底をしつこくかき回した清乃は、名残惜しそうに、それをゴミ箱に放った
。
「んなわけあるか!アイツはいつも一人でグゥグゥ寝とるわ」
「へえ、やっぱり滋子とタカシさんは、裸や寝姿を見せる程、親密な仲ではあるんだね」
滋子としては、ツッコミどころ満載な会話ではあったが、清乃の言動と様子から見るに、抱き枕にされても嫌ではない程度には、タカシに心を開いているのだろうと判断した。
「まあ、知り合いではあるけど親密な関係ではないかな。裸なんて見てないし···てか、あんた見たの?」
「うん。サービス生着替え、上半身限定だけどね。戦国武将の半裸イラスト、ニーズがあったら参考にさせてもらうよ」
どこまでも2次元仕事優先の清乃の言動に、滋子はまたもため息をついた。
「ソレハヨカッタネ」
「きれいな大胸筋と上腕二頭筋だったよ。背筋も筋肉付きすぎず···」
「ハイハイ」
滋子は、熱く筋肉語りを始めようとする清乃の頭をポンポンと撫でた。
「あ!それ、タカシさんね、抱き枕のお礼に、イケメンスマイルにイケメンボイス、頭ポンポンの“但しイケメンに限るサービス”してくれたんだけど、滋子、今度会ったらお礼言っといてね。清乃は此度の経験を必ずや仕事に反映致しますって」
「ソウネ」
滋子としては、今回のセッティングは見合いもしくはデートのつもりだったのだが、流石に清乃とタカシの朴念仁ペアでは、思惑通りに進まなかったようだ。
しかし、それもこれも、滋子には想定内、思惑の内なのだ。
「だって、清乃はテンプレが好きでしょう?」
「そうなの!テンプレは王道、三次元でもこんなこと言う人いるんだって思ったよ」
ニコニコと笑う清乃は、もう、滋子の描くシナリオのステージに載せられていることに気づいていない。
滋子はニヤリと笑って、第2ステージへの確かな足がかりを掴んだことを実感していた。