轍(わだち)〜その恋はお膳立てありき?
清乃はテンプレが好物だが、こんな悪役令嬢テンプレは大嫌いだった。

ましてや推しや親友を貶されるなど受け入れられるはずはない。

清乃は旧財閥という、ある意味、テンプレのカースト最上級の地位に生まれた。

しかし、両親も祖父母も堅実な考えの持ち主であったため、他人を蹴落としたり陥れてまでのし上がる思想はない。

そんな家族に育てられた兄も清乃も健全な思考の持ち主に育った。

お金に苦労したことはないが、それ以外は普通の家庭と同じく、仲睦まじく生活していたつもりだった。

しかし、私立のお嬢様学校(中学校)に進学してからは状況が変わった。

マウントの取り合い、足の引張り合いは日常茶飯事。

清乃は耐えきれずに3ヶ月で地方の公立中学校に転校した。

目立たず、騒がず、穏便に中学校生活をこなすも、私生活では祖父母の指示で、年に数回の会社の主催するパーティに出席を義務付けられていた。

媚びを売るどこかの社長。
あからさまに玉の輿を狙って近づいてくる自称イケメンのチャラ男。
牽制してくるどっかのお嬢様。

パーティに出る度に、社会の闇に触れ続けた清乃は、徐々に表情をなくしていった。

そんな清乃を見るに見かねた両親は、祖父母に対し、パーティ参加を強要することをやめるよう提言してくれた。

そんな中、人間不審に陥りそうになっていた清乃を救ったのは、狼犬《ウルハイ》の作品を始めとした二次元の世界だったのだ。

過去のトラウマまで引っ張り出されて、推しを貶された清乃。

怒れるブラック清乃から魔王清乃に進化を遂げようとする彼女を止めたのは、忠狼犬《ウルハイ》千紘だった。

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