不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。
そして迷いに迷った結果、私は今、冬とは思えないくらいの熱が籠った体育館の中で、初めてバスケ部員さん全員と対面している真っ最中。
「な、南野伊都です。えっと、み、短い間ですが精一杯頑張ります!よろしくお願いします!」
「と、いうことで今日からウィンターカップまでの間、1年の南野が臨時でマネージャーを務めてくれることになったので、各自伝達事項などはあらかじめ伝えておくように」
「「「よろしくお願いします!!!」」」
「ってか諭吉ちゃんじゃん!」
「マジか!ミーティングのとき律が本気な顔して“絶対伊都ちゃんじゃないとダメ”ってキャプテンに盾突いてたからどうなんのかなーって俺ら思ってたんだけどさ!?」
「本当に連れて来るとはな!」
「でも諭吉ちゃんならなんか安心だわ!面白いことやってくれそうだし!」
極度の緊張のせいで気を抜くと倒れそうになるくらい全身が固まっていたけれど、同じクラスのタケちゃんや、その他1学年の部員の人達と思わぬ形で顔見知りになっていたおかげで、ほんの少しだけ心に余裕ができた。
先ほど手渡された年間スケジュールの中で、私がここに居られる時間は本当に限られているけれど、それでもやるからにはしっかりしなくちゃ。
もう、ドキドキばかりもしていられない。