不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。







「伊都ちゃん」


「り、律くん!あ、お疲れさまです!」


「伊都ちゃんもお疲れさま。こっち来て、同じ1年のマネージャーを紹介するから」


「え?」


「夕夏ー、出番だよ」





体育館倉庫の薄暗い1室、律くんは電気のスイッチを探しながら彼女を探す。


そしてその中でただ1人、丹精込めて1つずつ丁寧にボールを磨いていたのは夕夏さん本人だった。


彼女は律くんの顔を見るなりサッと視線を逸らして、「何よ、忙しいのに」とぶっきら棒に答えがらも、手を止めて私たちの元へやって来てくれる。





「夕夏、この子。前ミーティングのときに言ってた伊都ちゃん。今日から色々教えてあげてね」


「はぁ?あたしそんなの知らないんだけど。律が勝手に言ってただけじゃん」


「でも伊都ちゃん、こんなに細いけど実は超力持ちだから。3年マネさんも受験で不在がちだし夕夏の負担も軽減できると思うよ?」


「別にそんなの今更だし!」


「えー、じゃあ夕夏はこれから1人で全部できんの?」


「よ、余裕だし!スコア付けながらモップ磨きしながらボール磨きながらドリンク作りながら洗濯物干せばいいだけだし!」


「アッハハ!それ絶対無理じゃん!」





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