不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。






「もう正直に言うね。俺、南野さんめっちゃタイプです」


「な!え、タイプ!?」


「え、マジで今彼氏とかいる?」


「いえ……っ、あのでも、」


「じゃあさ!俺を候補に入れてくれない?実は中学の時から南野さんいいなーって思っててさ……。声かけられないまま卒業しちゃったから諦めてたんだけど、今日会ってやっぱ諦めきれないって思って!」


「あの、私……!」





中学時代の彼のことは分からないけれど、今の印象は爽やかな好青年といった感じで、今もバスケをしているのか短髪で身長もこの中で1番の高身長だと思う。





けれど、私にはもう……心に決めた人がいる。


気を取り直して、多田くんに『好きな人がいます!』と言おうと大きく息を吸い込んだ。







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