エリート御曹司は極秘出産した清純ママを一途な愛で逃がさない
被害妄想かもしれない。
けれど、今日は来店するお客様たちが私を探るような目で見ていると感じた。

席でスマホを操作しているお客様がいれば、SNSを見ているのではないか、と気になって仕方がない。

おかげでオーダーはミスするし、レジでお釣りを間違えそうになって慌てたりと、集中力を保てずに苦労した。

連絡したら清都さんがすぐに動いてくれたけれど、中傷コメントが完全に削除されるのは十日ほどかかるらしい。そのため、一時的にすべてのコメントを非表示とした。

清都さんが店舗にやって来たのは、営業時間を終えた午後九時過ぎ。

スタッフたちはみな帰宅し、ひとり残った私はパソコンに向かい事務仕事をこなしていた。
入り口近くのテーブル席に座る私のそばに、清都さんが近寄る。

「映美」

張り詰めた声で名前を呼ばれ、私はハッとして目線を上げた。

「嫌な思いをさせてすまない。中傷コメントの件は乃愛にも伝えたから」
「そうですか……」

乃愛さんの耳にも入ったんだ。
あの女の子たちが投稿したと決まったわけじゃないけれど、今後は誰かを傷つけるコメントを投稿する行為がなくなり、私への誤解も晴れたらいいのだけれど。

清都さんの顔を見たら肩から力が抜けて、顔面がじんわりと熱くなった。鼻がツンとして泣きそうになる。

今日の出来事は私にとってかなりショックだったのだと思い知った。
他人から敵意を向けられる対象になると、自分でも気づかないうちにこんなにも憔悴するんだ……。

心ばかり微笑むと、清都さんはフッと眉を下げた。

「久しぶりにプライベートで会えたのに、話すのがこんな内容だなんてないよな」

私は曖昧にうなずく。
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