月下の逢瀬
「ふうん。水族館だっていうのに、鳥までいるんだ」


熱帯地方に生息する色鮮やかな鳥たちがいるドームがあって、先生がそれに興味深そうに近付いた。


「わ、キレイな羽の鳥がいますね!」


「うん、目立つな、あれ」


赤い羽を大きく広げた鳥が、枝木にとまっていた。
そのドームを二人でゆっくり見てまわって、屋内へ移動した。


大きな水槽を、気持ちよさげに泳ぐキラキラした魚の姿。
さっきまでショーで頑張っていたイルカも、のんびりとした様子だった。


「ここにいて。椎名は、飲み物何がいい?」


空いたベンチに座ると、先生が近くにあった自販機を指差した。


「あ、すみません。えと、紅茶を」


「はいはい」


先生が行って、あたしは目の前の水槽を眺めた。

小さな魚ばかりがいるその前に、幼稚園くらいの子どもが二人、張り付くようにしていた。
男の子と女の子が、かわいらしい声を上げて、群れをなした魚を見つめている。


まるで、小さな頃のあたしと理玖みたい。
幼稚園の時は、兄妹のようにいつも二人でいたっけ。


と、顔の前に缶が現れた。


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