月下の逢瀬
この子の目的は、玲奈さんをおとしめることなのだろうか。
あたしと話をしたいと言ったのも、姉の友達に悪い印象を与えたかったから?

コップの中を見つめる可愛らしい顔を窺い見た。
玲奈さんを少し幼くしたような顔。

姉妹なのに、どうしてそんな事を?


「驚きました?」


「え!? えと、意外すぎて……何て言ったらいいのか」


ふ、とこちらに顔を向けられて焦る。
慌てたあたしに、


「ですよね。酷い話だって、私も思います」


と納得したように頷いた。
それから憤るように続ける。


「だから、理玖さんが他の人に目を向けるのって、当然のことじゃないですか?
好きでもない人と何年も付き合ってきてるんだから」


コン! と音を立てて紙コップを置いた。

彼女は、理玖が好き、なのかな?
姉の彼氏が好きだから、それが姉への嫌悪に繋がった、とか?


「だいたい、玲奈が彼氏を作るっていうのが、おかしいのよ。自分の体のこと考え」


「琴乃様、奥様が入口でお待ちです」


興奮しだした琴乃ちゃんの言葉を遮るように、低い男の人の声がした。


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