愛よりもお金が大事。
「冬野がどうしたの?」


平然を装い、聞き返してみる。


「私の口から言うのは違うって分かってるけど。
花梨全然気付いてないから、冬野の気持ちに。
もう、冬野が可哀想で見てられなくて」


「え、美里は冬野が私を好きな事、知ってたの?」


「え?花梨知ってるの?」


そう逆に訊かれて、墓穴を掘ったかな?と思った。


「いや、最近知ったというか…」


「最近?うちら同期もそうだけど、わりとみんな気付いてると思うよ。
見てて分かるくらい、冬野は花梨に夢中だもんね」


そうなんだ。
当の本人の私は、全く気付かなかった。
私って、意外に鈍いタイプだったみたい。


「事前に冬野の気持ち知ってたら、もっと上手くやれたのかな」

そう漏れた言葉に、


「もしかして、冬野に告白でもされた?」


と、美里に訊かれて。
今日は失言ばかりだな、と思う。


観念したように、私は冬野とのあれこれを美里に打ち明けた。
ただ、私も冬野が好きだと言う事だけは、伏せた。
それを言ったら、絶対に冬野と付き合えと美里は言うだろうから。


「酔った勢いで、そうなっちゃって。
ズルズルと…。
いい歳して、何やってんだろうねぇ」


「けど、花梨も冬野が好きって事ない?
自分では気付いてないだけで。
私前から思ってたんだけど、花梨は冬野の事好きじゃない?」


「いやいやいや…」


そう手を仰ぐように、振るけど。
目の前の美里は、見抜いている。


当の冬野は気付いてないだけで。
周りから見たら、私と冬野の気持ちはバレバレなのだろうか?


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