愛よりもお金が大事。
「昔から、押してダメなら引いてみろって言うだろ?」


「はいっ?!」


もしかして、あの、急に私との関係を終わらせたのも、冬野の作戦か何かだったの?


「あのままズルズルセフレってのも嫌だと思ってたし。
だから、次夏村とそうなる時は、恋人になってやろうって」


そう言われて、それを想像して照れてしまう。
今までとは違い、次に冬野とそうなる時は、私も冬野を好きだと知られた上でなのか。


どんな顔をして、冬野に抱かれたらいいのだろう…。


「今から夏村の家に挨拶に行くから。
その後なんて、どう?」

「え、いや…」


そうやって照れている私を冬野は楽しそうに見ている。


「俺、そろそろ我慢出来ないし」


「いや。私達まだ付き合ったばかりだし!」


そうやって言い合っていると。


「あ、透兄!」


私達の進行方向から、仲良さそうに手を繋いだ若いカップルが歩いて来る。
そうやって冬野に声を掛けたのは、カップルの男性の方。
 

「夏村、紹介する。
弟の光(ひかる)。弟二人居るんだけど、こいつは下の方の弟で」


「いやいや!弟の紹介はいいから、弟の彼女の方を紹介して!」


私が冬野にそう言うと、冬野とその冬野の弟の彼女は笑っている。
そして、その彼女は口を開いた。


「冬野透さんの弟の光と7年程交際している、栗原美波です」


やっぱり、栗原さんはいつ見ても可愛い。
可愛いけど…。


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