転生(未遂)秘書は恋人も兼任いたします
逸生さんは以前、政略結婚に“気持ち”なんてないと言っていた。けれど目黒さんや白鳥さんを見る限り、みんな逸生さんに惚れている気がする。
確かに“九条”に嫁ぐというのは、会社にとってもかなりプラスになるのだろうけど。でも逸生さんを嫌いな人なんてきっといないし、純粋に彼と一緒になりたいのだと思う。
「その時にまた手作りのお菓子を持っていきますね。前回喜んでいただけたガトーショコラと、あと最近練習しているマカロンなんてどうでしょう」
「マカロンって作れるんですか?凄いなあ、楽しみにしています」
「わぁ嬉しい。専務のために腕によりをかけてお作りしますね」
お金持ちで、可愛らしくて、お菓子まで作れるってどういうこと?睫毛こそバサバサしているけれど、肌は白くてツルツルだし、逸生さんの隣にいても違和感がない。
さすが九条の婚約者候補だけあって、どの女性もレベルは高い方。どうして選ばれたのかが何となく分かる。
それに白鳥さんは逸生さんのこともよく知っている。私は彼がガトーショコラを好きなことなんて知らなかったし、それどころかお菓子を作ってあげたことなんて一度もないのに。
恋人らしく、と意気込んで来たけれど、今の私は白鳥さんに完敗している。
…何だか少し、居心地が悪くなってきたな。
逸生さん、“このままこの人と花火が見たい”なんて思っていたらどうしよう。