転生(未遂)秘書は恋人も兼任いたします




さっきまで落ち着いていたはずの心臓が、また激しく脈を打っている。だって、待ち合わせ場所は街でも有名な高級ホテルだったから。

相手はもしかしてお金持ち?それともただの見栄っ張り?我が家のような一般庶民とお見合いするのに、わざわざこんな豪華な場所を用意しなくてもよかったのに。

こういうホテルで行われるパーティーに、何度か逸生さんと同行したことはあるけれど。仕事とプライベートでは全然違って、隣に逸生さんがいないだけで場違い感に怯みそうになる。


「お、お父さん…相手の方って…」


一体どんな人なの?
思えばこの日まで相手の名前どころか写真すら見ていなかった。それだけ私が逸生さんのことしか考えていなかったということだ。

もしリーゼントの強面の人だったらどうしよう。それとも一発で沈められそうなゴリゴリマッチョだったり。私、きちんと断れるかな。


「紗良、お父さんが見付けてきた相手だぞ?変な人じゃないから安心しなさい。ほら、眉間に皺が寄ってる。リラックスリラックス」

「こんな高級なホテルのレストランでお食事が出来るの?お母さん、我慢出来ずに全部食べちゃいそう」


両親にいたってはリラックスし過ぎだと思う。まだホテルのエントランスなのに、もう料理の話をしている母のメンタルは鋼より強いんじゃないかと思った。

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