炎と花びら
(どうして、ノーマンまで一緒にお茶を飲んでいるんだろう?)

夫妻と楽しそうに話しながら、ノーマンはお茶に口をつけている。だが、彼らからすればノーマンは部外者のはずだ。何度もお茶を飲んでいるから、ノーマンは特別なのだろうか。

アンとノーマンは探偵と助手という関係だが、アンはノーマンのことをあまりよく知らない。彼は自分の生い立ちなどを話そうとしなかった。アンが調べればすぐにわかるだろうが、ノーマンが言いたくないのなら調べない方がいいだろうと思い、ノーマンに関してはほとんど何も知らないままだ。

(もう一つ、マクドナルド刑事に調べてもらう必要がありそうかな……)

目の前で話す三人を見つめながら、アンはサンドイッチを頬張る。その耳はしっかりと三人の会話に集中していた。

「ノーマン、再来週はお茶会ができないのよ」

「どうしてですか?」

「実は、その日は隣国に住む知人の家に遊びに行く予定があってね」
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