炎と花びら
二人に出迎えられ、アンとノーマンは庭に置かれたテーブルに腰掛ける。テーブルの上にはケーキやサンドイッチが並んだケーキスタンドや、人数分のティーカップなどが並べられている。だが、アンはテーブルの違和感にすぐに気付いた。

「あの、どうしてティーポットが二つあるんですか?」

テーブルの上には、ティーポットが何故か二つ並んでいる。普通は一つしかティーポットは置かれていないはずだ。パーカー夫妻はニコリと笑って言う。

「アンさんはパスカル村でのお茶会、初めてだろ?我々が飲んでいる紅茶は口に合わないと思ってね」

「アンさんはこっちのハーブティーを飲んでちょうだい」

パーカー夫人がアンの目の前に置かれたティーポットにハーブティーを入れ、すぐに自分たちの分の紅茶を入れる。その時、三人のカップに注がれた紅茶の匂いを嗅いだ刹那、アンは驚いてしまった。

(この独特の香りはもしかして……!)

変死体の原因は三人が飲んでいるお茶にあるのでは、とアンは疑う。だがそう考えると疑問が出てくるのだ。
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