炎と花びら
パーカー夫妻の家を調べるには、ノーマンがいない方がいいだろう。助手としてこれまで共に事件を解決してきたが、今回ばかりは一緒にはいられないと思ったのだ。

「気を付けてね」

アンがそう重い表情をしながら言うと、ノーマンはキョトンと首を傾げていた。

(ごめんね、ノーマン。マクドナルド刑事にあなたのことを調べさせる。出身地から過去から全て)

調理中のノーマンに抱き付くと、アンの鼻にあの匂いが刺激される。

「こら、料理できないじゃないですか」

そう笑うノーマンの声を聞いていると、アンの目の前がぼやけそうになっていった。



数日後、デイビッドからの報告を受けたアンは、ミネルバの元へ足を運んでいた。村長である彼女の自宅は人一倍大きく、立派だ。

木彫りの彫刻が飾られた応接室には、時計の針が動く音がやけにうるさく響く。ソファに腰掛けたアンの目の前で、ミネルバは紅茶にゆっくり口をつけていた。

「……話というのは?」
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