剛腕御曹司は飽くなき溺愛で傷心令嬢のすべてを満たす~甘くとろける熱愛婚~
「そんな美学を持っていたなんて意外だわ。私を憐れんでるの?」
 昔の天敵に同情されるくらいなら、死んだ方がマシだ。
 キッと尊を睨みつけると、彼は笑いながら頭を振った。
「全然。どうせ愛のない政略結婚だろ? 式が中止になってよかったじゃないか。なんなら祝杯でもあげるか?」
「丁重にお断りするわ」
 とてもじゃないが今は尊の相手をする気になれず、素っ気なく断る。
 すぐに私の前からいなくなるかと思ったが、彼は急に真面目な顔で告げた。
「優里香、悪いが明日の準備もあるからずっとここにいるわけにはいかない」
 確かにそうだ。明日も朝から式を挙げるカップルはいるだろう。
 それに、花婿に逃げられた私がいつまでもチャペルの前にいるのは縁起が悪いはず。
「ごめんなさい。邪魔だったわね。すぐに出ていくわ」
「いいから俺に付き合え」
 尊が私の腕を掴んでスタスタと歩くので、足を止めて言った。
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