あさまだき日向葵
「……ごめん。そっか、信じてなかったな、俺が」
ふわり、バスタオルごと抱き締めてくれる。
「戸惑ってるよ、初めてで戸惑ってる! こんなに好きになったの初めてで、塔ヶ崎くんが好きだから戸惑ってるんだよ!」
「……うん、ごめん。バカだな、俺……見てたのに、ちゃんと聡子のこと見てたのにわかってなかったな」
「塔ヶ崎くんだって、あの人のこと、ずっと目で追ってた。あの人の前では私のこと『彼女』だって言ったし、繋いだ手に力入ったし、あの人の耳元も見てた!」
「……いや、だって会いたくないだろ、お互い。『彼女』だって言っとかないと、向こうも不安になるだろうし、一応振られた側だからもう大丈夫だって伝えたいじゃん。で、背中は見てたかわかんないけど、早く行かないかなって思ってた。気まずいし。単にそれだけ。あと、ピアスが風鈴ってスゲーって見てた。音、鳴んのかなって。鳴るなら耳元でうるさくね? って、下らない理由。めっちゃごめん」
「……それ、だけ?」
「……それ、だけ」
恥ずかしい、勘違い。余計に顔を上げられなくなってしまった。私だって信じてなかった。
「ごめん、なさい」
「何が?」
「信じてなくて」
「いや、うーん、信じようとしても、嫌なもんは嫌だもんな。勝手に嫌だって思っちゃうもんな。……えっと、俺も……他の男が聡子触るの嫌です」
私の髪を撫でて、そう言った。
たぶん、顔が赤くなりすぎて、もう二度と顔をあげられないんじゃないかなと思う。
ふわり、バスタオルごと抱き締めてくれる。
「戸惑ってるよ、初めてで戸惑ってる! こんなに好きになったの初めてで、塔ヶ崎くんが好きだから戸惑ってるんだよ!」
「……うん、ごめん。バカだな、俺……見てたのに、ちゃんと聡子のこと見てたのにわかってなかったな」
「塔ヶ崎くんだって、あの人のこと、ずっと目で追ってた。あの人の前では私のこと『彼女』だって言ったし、繋いだ手に力入ったし、あの人の耳元も見てた!」
「……いや、だって会いたくないだろ、お互い。『彼女』だって言っとかないと、向こうも不安になるだろうし、一応振られた側だからもう大丈夫だって伝えたいじゃん。で、背中は見てたかわかんないけど、早く行かないかなって思ってた。気まずいし。単にそれだけ。あと、ピアスが風鈴ってスゲーって見てた。音、鳴んのかなって。鳴るなら耳元でうるさくね? って、下らない理由。めっちゃごめん」
「……それ、だけ?」
「……それ、だけ」
恥ずかしい、勘違い。余計に顔を上げられなくなってしまった。私だって信じてなかった。
「ごめん、なさい」
「何が?」
「信じてなくて」
「いや、うーん、信じようとしても、嫌なもんは嫌だもんな。勝手に嫌だって思っちゃうもんな。……えっと、俺も……他の男が聡子触るの嫌です」
私の髪を撫でて、そう言った。
たぶん、顔が赤くなりすぎて、もう二度と顔をあげられないんじゃないかなと思う。