魔法のいらないシンデレラ 3
しばらくして目を覚した瑠璃は、慣れた手つきで赤ちゃんのお世話をする。

すごいなあ…母親って、と一生が感心してると、ドアをノックする音がして、瑠璃の母が入って来た。

「まあー、可愛いこと!一生さんにそっくりじゃない」

そうかな?と一生は、改めて赤ちゃんを見る。

瑠璃も、瑠璃の両親もそう言うくらいだから、やはり自分に似ているのだろうか。

なんだか嬉しくなり、一生は思わずニヤけてしまった。

「すみれちゃんは寝ちゃってるのね。起きたらうちに連れて帰るわ。瑠璃も入院中はゆっくり身体を休めるのよ」

母の言葉に、瑠璃は少し考える素振りをする。

「どうかした?」

一生が声をかけると、瑠璃は、
「一生さん、お母様」
と切り出した。
< 141 / 236 >

この作品をシェア

pagetop