魔法のいらないシンデレラ 3
「え?すみれを家に連れて帰るの?」

一生は驚いて瑠璃を見る。

「ええ。さっきすみれ、お父様と離れるって分かったら寂しそうな顔をして…。もちろんワガママを言ったりせずに、おばあ様のおうちに行くつもりだとは思うけど、何とかならないかしら。私と離れるだけでも不安だろうから、せめてお父様と一緒におうちに帰れるようにしてあげたいの」
「いや、でも…。俺も明日からは、やはり短時間でもホテルに顔を出さなければいけないし」
「それなんだけど…。ナーサリーに預けたらどうかしら?すみれも先週行ったきりで、また行きたがってたし」
「ああ、なるほど。それなら、俺も朝すみれと出勤して、帰りもすみれを連れてここに顔を出せるな。預けるのって10時から15時くらいだっけ?それなら、仕事もなんとかなりそうだ」

本当?!と、瑠璃は目を輝かせる。

「ああ。そうしよう」
「良かった!お母様、それでもいい?」

母は、大きく頷く。

「もちろんよ。すみれちゃんの為にもそれがいいと思うわ。私はちょっと寂しいけどね。でも午前中は、私もここに顔を出すわね」
「ありがとう!お母様」

瑠璃は、すみれの寝顔を見て微笑んだ。
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