うそつきな唇に、キス
ライアー / Question





「………あの、この格好の意味ってあるんですか……?」



翌日、夜10時をすこし回った頃。

車内で隣にいる睿霸を流し目で睨みながら、自分のいまの姿を見下ろして、そう指摘したら。


睿霸はなぜか顔を両手で覆いながら、爆速で頷いていた。



「あっッたりまえやん!!もう、もウっ……、さっすがえるちゃんって感じやね!!!」

「それ、褒めてるんですか……?」

「めっちゃ褒めてルで?!僕にしちゃ手放シで!!!!」

「あ、そうなんですね……」



なんというか、こっちの界隈の人、褒めてくれてるのわかりにくいなあ……。若サマも褒める表現が、なんというか独特だったし。



「ホぼチトセやん……!!!」

「……えと、確か今日の朝見てたアニメに出てきてた女の子、でしたっけ?その子に似せて実用性あるんですか……?」

「ソれはもっちろんあるで。いま僕んとこは男所帯やけ、女の子の刺客ガおるとは向こうも思っとらん。けど、僕が若くんと親交あんのは知るところやし、えるちゃんの存在もたブん知られとる。やから変装セなあかんのや」



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