恋の仕方、忘れました
「お前こそ、もっと分かりやすくしたらいいだろ。てっきりクズ男とまだ何かあるのかと思ってた」


「うそ。主任のことずっと目で追ってたし、好きがダダ漏れなのかと思ってました」


「…顔に出ないとこがさすが営業マンだな」



主任はそう言うと小さく笑みを零す。

そんな彼を見て、手、繋ぎたいな。と、つい欲が出たけれど、丁度信号が青に変わって車が発進したから、さすがに言えなかった。

それにこんなこと言ったら、恋愛偏差値0の処女が考えるベタなシチュエーションだと笑われそうだし。

歳だけ重ねて、恋愛に関してはまだ子供のようなものだから、大人の彼が相手だとどうするのが正解なのか分からなくてほんと困る。

早く彼に見合うような女にならなければ。そう、思うのに。



「成海、」



子供な私の思考は、やっぱり大人の彼にバレバレのようで。



「ほら、手」



こっちを見ようとはしないけれど、そっと差し出された手を見て、躊躇しながらもその上に自分の手を重ねた。



「……幸せ過ぎて怖い」



彼は自分のことになると不器用なところもあるみたいだけれど、こうして私の考えを汲み取ってくれるから凄い。それどころか、想像以上のことを与えてくれる。


あまりにも幸せ過ぎて、未だ現実とは思えない。

私はこの人と釣り合える日がくるのだろうか。

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