恋の仕方、忘れました
あの日、私が祐真さんと関係を持った日から随分と時が流れた気がする。
この短期間で色々なことがありすぎた。
裕真さんとのあの出来事はもう墓場まで持って行ってしまおうかと何度も思ったけれど、主任が傍にいて毎日幸せなのに、いつもどこかモヤモヤして罪悪感で押し潰されそうで、それが段々と耐えられなくなって、昨日ついにお姉ちゃんに電話をしてしまったのだ。
だって、もし主任とお姉ちゃんが私に内緒で身体の関係を持っていたら……って考えると、苦しくて、胸がえぐられて、頭が痛かった。
それを一生秘密にされるとなると、発狂どころでは済まない。
一応主任に相談すると「さっさと言ってしまえ」の一言で片付けられた。言葉は厳しいけれど、頭をぽんぽんと優しく撫でられたことで勇気をもらえた。
電話をする手は震えたし、声も掠れてなかなか出なかった。
いつもと違う私に気付いたのか「明日会って話したいことがある」と言った私に、お姉ちゃんはいつもと変わらない声でいつでもおいでと言ってくれた。
私が犯した罪を知らない彼女は、何もかもいつも通りで、明日お姉ちゃんの笑顔を奪うかもしれないと思うと不安で仕方がなかった。
隣で見守ってくれてた主任は、黙って私の手を握ってくれてた。それだけで救われた気がした。
明日は何があっても、全てを話す。
そう思いなら「じゃあ、明日」と放った───直後だった。
「あ、希子。私も話したいことがある」
─────電話の最後にお姉ちゃんが残した台詞がどうしても気になって、それからずっと頭から離れてくれなくて、そわそわしている内に朝になってしまった。
寝不足でこの日を迎えたわけだけど、緊張のせいか目は冴えていた。