恋の仕方、忘れました
「希子いらっしゃい。久しぶりだね、仕事落ち着いた?」
インターホンを押して、ドアを開けてくれたお姉ちゃんは私の顔を確認すると開口一番そう言った。
私と身長があまり変わらない、何なら顔もよく似ているお姉ちゃんは、見た感じ特に変わった様子もなく元気そう。
寧ろ私に会えたことがとても嬉しいのか「早く早く」と部屋に入るのを急かしてくる。
慌てて靴を脱ぐと、お姉ちゃんが背中を押してリビングに誘導した。
てっきり、先に私と裕真さんとのことがバレてしまって、怒られるんじゃないかと思っていたから拍子抜けした。
怒るどころか、とても楽しそう。
何度もこの部屋に足を運んだことはあるけれど、こんなにも歓迎されたのは初めてかもしれない。
もしかして、結婚の報告?
そうだとしたら、さすがにあの話は出来ない。
話があると言って乗り込んだのに、どうしよう。
お姉ちゃんが元気なことには安心したけれど、今度はそっちの悩みが生まれてしまって落ち着いてはいられなかった。