恋の仕方、忘れました
今になって気付いた。
きっと主任は、お局にこれを言うためにこの飲み会に参加したんだ。
じゃないとおかしいと思った。
わざと女性陣に囲まれるような席について、普段寡黙な彼が愛想良く相槌をうって。
いつもの彼なら、上手く躱して他の男性社員に紛れて座っていたと思うのに。
お局の話を聞いてあげていたのは、彼女が心を許して私の愚痴を零すのを待っていたんだ。
全部、私のため。私を庇うため……。
それなのに私は、勝手に嫉妬して禁止されているお酒をガバガバ飲んで。
案の定、森岡君の前ではへらへら笑っちゃうし、頭がふわふわしちゃうくらいには酔っ払ってる。
主任の言う通り、すぐに悩んで突っ走る。主任のことになると特にだ。
もう無理。主任に顔を合わせられない。
私の暴走は、いつだって主任に迷惑をかける。
それでも私は、彼と離れる選択なんて出来なくて。
どうしたら主任に追いつけるんだろう。彼が安心して隣にいられるような女になれるんだろう。
そんなこと考えたって、答えなんて見つからないんだけど。
それよりも今は、主任に謝りたい。ありがとうって伝えたい。
飲み会なんて早く抜け出して、主任と二人きりになりたい。
「課長、ちょっと御手洗に行ってきますね」
小さく呟いた声は、課長に届いたのかは分からない。
コソコソと席を立った私は、今度こそ逃げるように部屋を出た。