恋の仕方、忘れました

「ふざけてんの?」

「結構本気です」

「いいから頭上げて」

「許してくださいますか」

「それは成海次第」



頬杖をついたまま見下ろしてくる彼を、下からこっそりと見上げる。

部屋の照明は薄暗く、彼の表情はよく見えないけれど、それでも怒っているのは何となく伝わってきた。

綺麗に整った顔。なのに、眉間に皺が寄っている。

仕事でミスしてもこんな表情見せないのに、どうやら私はお酒を飲むと、簡単に彼を怒らせてしまうらしい。


森岡君が今の主任を見たら、ショックを受けるかな。それとも主任に迷惑をかけるなって私に怒ってくるかも。



「日本酒はいけませんね」

「……」

「でもね主任、これには訳があって」



そもそも、だ。何度も言うけれど、私がああやってお酒を飲んでしまったのは、主任が女性陣と楽しそうにしていたから。

主任が先にあの作戦のことを教えてくれていたら、こんなことにはならなかったはず。

だから全部が全部、私の責任じゃなくて。


だけど、それなのに───…



「主任、」

「……お前といると、ほんと疲れる」



…───苦しそうな表情で、ため息をつきながらそんな言葉を吐かれたら、


言いたいことだって言えないよ。
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