恋の仕方、忘れました
「ふっ、……ぁ、」
不意打ちをくらったせいで酸素を上手く取り込めず、無理やり唇を離せば透かさず塞がれてしまう。
ただでさえまだお酒が残っていてふわふわするのに、息をしようと開けた口内に彼の舌が侵入して上顎をなぞるから、快楽で何も考えられなくなる。
頭がクラクラしてきて、いよいよ酸欠になった私が彼の胸をバシバシ叩くと、やっと顔を離した主任は余裕の表情で私を見据えた。
「今日、結構イラついてるから」
「……」
「優しく出来ないけど、どーする?」
意地悪く口角を上げた主任と視線がかち合う。
そんなの、聞かなくたって返事は分かってるくせに。
「大丈夫……です」
「ふうん」
「私も今日は、モヤモヤしてたので」
「……どういう意味」
「主任が小沢さん達と仲良くするから」
「……」
「だから、いっぱい甘やかしてほしい……で、す」
「お前自分の立場分かってないだろ」
俺怒ってんのに甘やかすわけねーじゃん、と続けた彼は、上体を起こしシャツのボタンを外し始める。
それを眺めながら、自分で言った台詞を思い出して赤面した。甘やかしてだなんて、ちょっと子供っぽかったかも。
でもそれだけ、今は主任を独り占めしたい。
主任の気持ちは伝わった。主任がどれほど私を想ってくれてるかも分かった。
でもそれとこれとは別だから。
私も主任にいっぱい触れたいから。
その行為がいつもより激しくても、乱暴でも、私にとっては至福の時間なんだよ。