恋の仕方、忘れました
主任がシャワーを浴びている間、なるべく部屋が暗くなるように部屋の明るさを調節した。
いやらしい色に変わった時は焦ったけど、なんとか顔がギリギリ見えるくらいの、いい感じの雰囲気になったと思う。
そんなことをしていたらあっという間に時間が過ぎて、もう主任が戻ってきてしまった。
薄暗い部屋で見る主任は濡れた髪がやけにエロくて、さっき好きになりません宣言をしたというのに不覚にもドキドキしてしまったから枕に頭を打ち付けて正気を取り戻した。
危うく心を奪われるところだった。イケメンは息をするだけで罪なのだと、この時初めて知った。
「なんだ、ちゃんといるじゃん」
私の姿を確認した彼は「それにしても部屋暗すぎだろ」と零しながら目を細める。
嘘でもそんな顔しないでほしい。私が逃げなかったことに喜んでると勘違いしてしまいそうになるから。
これだから顔面犯罪者は。
「覚悟は出来た?」
「…逃げなかったってことは、そういうことです」
「ん、よろしい」
ベッドに座っていた私に徐々に近付いてきた主任は、そのままベッドの縁に腰掛けて私を見据える。
普段のあの無愛想な彼の姿はどこにもなかった。
完璧に別人だ。
そう思うと、少し心が軽くなった。
「主任、なんかキャラ違いますよね」
「そうか?」
「だっていつもは全くと言っていいほど喋らないし社員とスキンシップをとっているようにも見えない、ただの無愛想上司ですもん」
「何お前めちゃくちゃにされたいの?」
「優しくされたいです」
その約束は変えないでほしくて即答すれば、主任は納得出来ないのか軽く睨んできた。